ということで、ここまでのポイント・スタンディングは以下の通り。
・第6戦カナダGP終了時暫定
■ドライバーズ・ランキング
1,ルイス・ハミルトン(McL) 48P
2,フェルナンド・アロンソ(McL) 40P
3,フェリッペ・マッサ(FER) 33P
4,キミ・ライコネン(FER) 27P
5,ニック・ハイドフェルド(BMW) 26P
6,ジャンカルロ・フィジケラ(REN) 13P
7,ロバート・クビサ(BMW) 12P
8,アレクサンダー・ブルツ(WIL) 8P
9,ヘイキ・コバライネン(REN) 8P
10,ニコ・ロズベルグ(WIL) 5P
11,デビッド・クルサード(RBR) 4P
12,佐藤琢磨(SAF) 4P
13,J.トゥルーリ(TOY) 4P
14,R.シューマッハ(TOY) 2P
■コンストラクターズ・ポイント
1,マクラーレン・メルセデス 88P
2,フェラーリ 60P
3,BMW 38P
4,ルノー 21P
5,ウイリアムズ・トヨタ 13P
6,トヨタ 6P
7,レッドブル・ルノー 4P
8,スーパーアグリ・ホンダ 4P
9,ホンダ 0P
9,トロロッソ・フェラーリ 0P
9,スパイカー・フェラーリ 0P
●マクラーレン・メルセデス
開幕戦当初はフェラーリとの差があったものの、ここ数戦では立場が逆転しているといっても過言ではなかろう。開幕戦後のフェラーリのフレキシブル・アンダーパネル封印に成功したマクラーレンは、マシンの差を埋め追い越した感がある。元々、ドライバーの能力ではフェラーリと互角以上であるので、マシンの仕上がりさえ良ければコンストラクターズ・タイトル奪還も夢ではなさそうである。カナダの走りを見る限り、アメリカでも期待できそうである。
ルイス・ハミルトンが、2位のフェルナンド・アロンソに8ポイントの差をつけたというのは大きい。仮に、1戦で追いつこうとするならばハミルトンがリタイヤでアロンソが2位以上でポイントが追いつく計算となるが、ハミルトンの予選や決勝での走りを見ているとドライバーのミスでのリタイヤの確率は低そうである。アロンソが1位で、ハミルトンが2位を繰り返していても追いつくまでに5銭がかかってしまう計算である。同チームでの8Pというのは、かなり大きい差である。
●フェラーリ
1位のマクラーレンと28Pもの差がついてしまった。第4戦スペインGP決決勝でのキミ・ライコネンのリタイヤは電気系統が原因であるので仕方ないが、第5戦モナコGP公式予選Q2でのキミ・ライコネンのミスによるクラッシュ。第6戦カナダGP決勝でのフェリペ・マッサのピット出口信号無視による失格。これらは大きいミスであり、皮算用ではあるが12P(4位、3位)を損している可能性がある。マクラーレンとの差は僅差であるものの、6を消化した時点での28P差は大きいのではなかろうか。今回のカナダで、BMWのニック・ハイドフェルドが速さで2位を獲得しているのも今後に向けての不安材料である。
マッサは、1位ハミルトンに15Pもの差をあけられてしまった。この差は大きく、ドライバーの力差はモナコで見せてしまったので、今後フェラーリF2007が得意とするコースで巻き返すしかないだろう。
ライコネンは、1位ハミルトンに21Pもの差をあけられている。ドライバーズ・サーキットでは朗かにマッサに勝っているが、ライコネンらしい走りに見えないのも事実。ザウバーやマクラーレン時代の走りを期待したいものである。
●BMWザウバー
2位のフェラーリとは22P差があるものの確実に差を詰めている。今回のカナダでは1位ハミルトンと2位のハイドフェルドは、セーフティーカーの影響はなかったと言える。いわば、実力のポディウム獲得である。
開幕数戦は、マクラーレン・フェラーリの2強との差が歴然であったBMWザウバー・チームであるが、カナダではフェラーリを圧倒していた。決勝でのロバート・クビサの大クラッシュにはヒヤリとさせられたが、大事に至らず一安心。週末のアメリカGPには、第3ドライバーであるセバスチャン・ベッテルが起用されそうである。ちなみに、彼も速い。
●ルノー
3位BMWとの差は17P。この差以上に、マシンの差は大きい。マシンも徐々に良くなってきてはいるが、3強との差は歴然である。しかし、中段グループの中ではウイリアムズと共に上位であろう。
フィジケラの個々数戦の走りは評価できるし、コバライネンも徐々に良くなっている。元々彼は、ハミルトンやニコ・ロズベルグ級のドライバーであるのだが、序盤からミスが目立つ。もしかしたら、開幕戦のミスのプレッシャーから解き放たれていないのかもしれない。
●ウイリアムズ・トヨタ
4位ルノーとの差は8Pであるが、流石はウイリアムズである。だいぶマシンがまとまってきたように見えるし、なんと言ってもニコ・ロズベルグの活躍が目覚ましい。2005年の初代GP2王者の肩書きは伊達ではない。
●トヨタ
5位ウイリアムズとの差は7Pという僅差であるが、実際にマシンの差は大きい。同じエンジンを使用している両チームであるが、着実に進歩しているウイリアムズとは逆に、新サスペンションのおかげでJ.トゥルーリが走れなくなってしまっている。元々、TF107がR.シューマッハに向いておらず、彼の走りに合わせるための改良であったようであるが、カナダGPを見る限りでは酷い挙動をあらわしている。トゥルーリがQ3まで進んでいるのは、彼の腕であろう。
カナダでの更迭が噂されていたラルフ・シューマッハであるが、今回の決勝では7位完走を果たして2Pを獲得している。しかし、第3ドライバーであるフランク・モンタニーの評価も高いだけに、彼の更迭の噂は消えないものであろう。
●レッドブル・ルノー
6位トヨタとの差は僅かに2P。しかし、SAFホンダにポイントで並ばれてしまった。カナダでのクルサードは、マシンのトラブルが目立っていた。決勝での彼のペースは毎戦速いだけに残念であるが、今回はウェバーも決勝のペースが良かった。ウェバーの予選は相変わらず速いが、それだけに決勝序盤のスピンは痛い。また、ピットタイミングも1度大きくロスしたタイミングとなってしまった。これは、チームとして勉強すべき事柄である。
だいぶエイドリアン・ニューウィーのマシンらしくなってきたが、このチームは風洞のデータがおかしいので、勘に頼る部分が大きいのがハンデになっている。カナダでは、兄弟チームのトロロッソ・フェラーリとレースする場面も見られたが、元々ベースが同じマシンなので、見ていて楽しい。
●スーパーアグリ・ホンダ
佐藤琢磨が第4戦スペインGPでの8位入賞、そして第6戦カナダGPでの6位入賞と、全4Pも獲得してしまった。開幕戦のQ3進出ですら驚いたものであるが、昨日は途中から入賞を確信してしまうほどの走りであった。しかし、2回目のストップがなければキミ・ライコネンの前でフィニッシュできていた可能性もあるが、ソフトタイヤの状態によるが昨日以下の順位の可能性もあり、あのストップについての賛否はいえない。
ただ、ラルフ・シューマッハをオーバーテイクしただけではなく、2年連続王者のアロンソを交わした映像には興奮させられたし、昨日のレースはハミルトンが主役であったが、レース終盤世界中のF1ファンが彼の走りに注目していた思う。現に国際映像では、佐藤琢磨の走りが放送されつづけていた。CSでのレース観戦後に地上波をチェックしてみると、ラルフ・シューマッハをオーバーテイクした場面がCM中だったようで...。仕方ないですな。
●ホンダ
本家ホンダは今だにノーポイントである。今年で契約が切れルーベンス・バリチェロは、私なら切る。ジェントン・バトンと似たようなドライビングをするドライバーを獲得するか、佐藤琢磨を復帰させてSAFには若手を起用させる。
ただ、それよりもRA107改の登場が急務であるが、現行のRA107もブレーキング時の挙動が安定してきた。しかし、SA07(RA106改。w)のレベルには到達できていない。
●トロロッソ・フェラーリ
2004年国際F3000王者であるヴィンンタント・リウィツィと、2005年GP2ランキング3位のスコット・スピードの走りは素晴らしい。兄弟チームであるレッドフル・ルノーとリアセクションだけ異なるマシンを使用しているためか、走りのレベルはさほど変わらないと、ここ数戦は見ることができる。元々、ドライバーのレベルは申し分なくポイントを獲得できるレベルにはある。
●スパイカー・フェラーリ
正直、開幕戦当初のマシンの挙動は酷かった。まるで、某ゲームのフォミュラーカーの挙動をリアル世界で表現してしまったように見え、完走できないドライバーたちに同情していたものである。実は、トロロッソよりもスペック落ちのエンジンを供給されており、シャシーだけではなくエンジンもレベルの低い仕上がりとなっている。来期からカスタマー・シャシーもでてくるし、セカンド・チームの重要性も増してくる事から、ワークス・チームに売却したほうが良いと個人的には感じてしまう。